【計算EXCEL付】配管圧力損失の求め方

  • 2021年8月15日
  • 2021年8月15日
  • ポンプ
  • 配管の圧力損失はどうやって求めるの?
  • 曲げ管、入口部などの計算方法も知りたい。
  • EXCELで圧力損失を計算してみたい。

こんな人に向けた記事です。

こんにちは。

プラントエンジニアの火プライオンです。

この記事では、配管圧力損失の計算方法について解説します。

記事の最後には配管圧損計算の計算シート(EXCEL)を添付したので、勉強に役立ててください。

 
火プライオン
一緒に勉強して行こう!

スポンサーリンク

圧力損失はダルシー・ワイスバッハの式で求める

配管の圧力損失は次に示す、ダルシー・ワイスバッハの式で求めることが出来ます。

$$\Delta p=\lambda\frac{\rho u^2}{2}\frac{L}{D} $$

記号の説明
 Δp : 圧力損失[Pa]     λ:管摩擦係数    u:流体の速度[m/s]
       ρ : 流体の密度[kg/m
3]       L : 配管長さ[m]            D:配管の内径[m]

では、計算に使用する各数値を詳しく見ていきましょう。

管摩擦係数はコールブックの式で求める

乱流における管摩擦係数λは下記のコールブックの式で求めることが出来ます。

$$\frac{1}{\sqrt{\lambda}} = -2\log\left(\frac{e}{3.71D}+\frac{2.51}{Re\sqrt{\lambda}}\right)$$

記号の説明
 λ:管摩擦係数             e:管の粗度[mm]        D : 配管の内径[mm]     Re:レイノルズ数

管摩擦係数はコールブックの式の左辺と右辺を満たす値となります。

手計算で求めるのは大変ですが、EXCELのゴールシーク機能を使用すれば簡単に求めることが出来ます。

 
火プライオン
コールブックの式をもとに描かれたのがムーディー線図だよ。
グラフを読み取るのが面倒なので、僕はコールブックの式を利用するよ。



層流の場合の管摩擦係数は以下の式で簡単に求められますが、実務で使用することはあまりないと思います。

$$\lambda=\frac{64}{Re}$$

 

では、管の粗度とレイノルズ数の求め方について見ていきましょう。

管の粗度

粗度は下左の表から選択して決めます。

機械工学便覧では、下右図のように表で提示されています。(縦軸がe/Dとなっているのは、ムーディ線図から管摩擦係数を求める場合に使用するからです。)

 

 

配管の種類粗度e [mm]
引抜鋼管0.0015
工業用鋼管0.045
アスファルト塗鋳鉄管0.12
鋳鉄管0.26

レイノルズ数

レイノルズ数は下記の式で表すことが出来ます。

$$Re=\frac{Du\rho}{\mu}$$

記号の説明
D:配管の内径[m]          u : 流体速度[m/s]           ρ : 流体密度[kg/m3]             μ : 流体の粘度[Pa・s]

 

流体速度

管の流速は流量を管内径で割る次式で求めます。

$$u = \frac{Q}{\frac{\pi}{4}D^2}・\frac{1}{60}$$

記号の説明
 Q : 流量[m3/min]    D : 管内径[m]
 

流体の密度、粘度

蒸気表や化学便覧で調べましょう。

 
火プライオン
密度は流体の温度や圧力で変わるので注意しよう!




以上で、直管の場合は、長さLを決めてしまえば、圧力損失は求めることが出来ます。

しかし、実際の配管は曲げ管配管の拡大部があります。

次は、これらの圧力損失の計算方法を見ていきます。

曲げ管や弁の圧力損失は相当長さで求める

曲げ管や弁などは、相当長さに換算して圧力損失を求めます。

相当長さとは、曲げ管や弁の圧力損失を直管の長さで表した値です。

この相当長さと直管を足し合わしてダルシー・ワイスバッハの式で圧力損失を求めます。

つまり、ダルシー・バッハの式のLは、曲げ管や弁などの相当長さをLe、直管長さをL’とすると

$$L=L’+Le$$

となります。

そして、相当長さLeは

$$Le = nD$$

で求められます。Dは配管の内径です。

曲げ管

曲げ管のnは以下のようになります。

項目n
45°エルボ15
90°エルボ32
Tピース80
「渦巻ポンプの設計(パワー社)」から引用

弁類

弁のnは以下のようになります。

項目n
仕切弁(全開)7
仕切弁(3/4開)40
仕切弁(2/4開)200
仕切弁(1/4開)800
玉形弁300
逆止弁55
アングル弁170
「渦巻ポンプの設計(パワー社)」から引用

拡大・縮小部、出入口部の圧力損失

拡大・縮小部、出入口部の圧力損失は、別途計算します。

順番に見ていきましょう。

円すい状の拡大部の圧力損失

円すい状拡大部の圧力損失は

$$\Delta p=f・\rho\frac{(u-U)^2}{2}$$

で表せます。

そして、損失係数fは、(D/d)2=1~2の場合は下グラフを用いて広がり角度θより求まります。

「渦巻ポンプの設計(パワー社)」より引用
 
火プライオン

急拡大管の場合はΘ=180°とすれば良いよ!

円すい状の縮小部の圧力損失

円すい状縮小部の圧力損失は

$$\Delta p=f・\frac{\rho u^2}{2}$$

で表せます。

損失係数fは

$$f=\frac{0.025}{8sin\frac{\theta}{2}}・\left\{1-(\frac{d}{D})^4\right\}$$

となります。

出入口部の圧力損失

出入口部の圧力損失も

$$\Delta p=f・\frac{\rho v^2}{2}$$

で表すことが出来ます。

入口部の損失係数

入口部の損失係数fは次のようになります。

「渦巻ポンプの設計(パワー社)」より引用

出口部の損失係数

出口部の損失係数fは下図のどれでもf =1.0となります。


以上で、すべての圧力損失が求まりました。


まとめ

以上をまとめます。

まとめ

 

  • 配管の圧力損失はダルシー・ワイスバッハの式で求まる
    $$\Delta p=\lambda\frac{\rho u^2}{2}\frac{L}{D} $$
  • 圧力損失係数はコールブックの式で求まる。
    $$\frac{1}{\sqrt{\lambda}} = -2\log(\frac{e}{3.71d}+\frac{2.51}{Re\sqrt{\lambda}})$$
  • 曲げ管、弁類は直管相当長さに変換する。
  • 拡大・縮小部、出入口部の圧力損失は別途求める。
    $$\Delta=f・\frac{\rho v^2}{2}$$

 

計算過程をフローにしました。

配管の圧力損失計算シート【EXCEL】

以下からダウンロードしてください。

注意1)計算チェックはしておりますが、万が一間違いが有るかもしれませんので、使用の際は自己責任でお願い致します。

注意2)拡大、縮小管は考慮していません。

スポンサーリンク