再熱サイクルによる熱効率の改善理由を分かりやすく解説します。

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再熱サイクルとは

下図は再熱サイクルの概略図です。

ボイラから送気された蒸気が、高圧タービン内で膨張して湿る前に全量をタービン外へ排出し、再度ボイラに送り過熱をしてから、低圧タービンへ送気する蒸気サイクルを再熱サイクルと言います。

また、蒸気を再過熱するために設けられた熱交換器を再熱器(リヒーター)と呼びます。

再熱サイクルが有効な理由

 
火プライオン
なんでわざわざもう一度ボイラに蒸気を戻して過熱するの?

蒸気サイクルの熱効率を改善するには、タービン入口蒸気圧力・温度を上げれば良いことは以前解説しました。

入口蒸気圧だけを高くするとタービン内で膨張する蒸気が湿りやすくなるため、蒸気温度も一緒に上げなければなりません。

しかし、過熱器で使用する材料の耐熱性能から蒸気温度を上げるにも限度があり、高圧蒸気がタービン内で十分に膨張しても湿らないほどに蒸気を高温には出来ない場合があります。

このため、タービン内で膨張して湿る前に蒸気を全量取り出し、再過熱することで、材料の耐熱性能の課題を解決したのが再熱サイクルです。

これをT-S線図で表すと下図のようになります。(T-S線図についての詳細は過去記事をご覧ください。)

再熱サイクルで熱効率が改善される理由

では、なぜ再熱サイクルを設けることで効率が上がるのでしょうか?
さらに、詳しく見ていきましょう。

T-S線図は線で囲まれた面積が仕事に使用された熱量を表します。

下図の赤で囲われている部分が再熱サイクルによって増えた仕事です。

一方で、青で囲まれた部分は、再熱蒸気を加熱するのに使用した熱量の中で復水器にて捨てられる熱量を表します。

青い部分の面積より赤い部分の面積の方が大きいので、ランキンサイクルの効率が上がることがわかります。

再熱する回数を増やせば効率は上昇する?

理論的には再熱回数を増やせば増やすだけ効率は上昇します。

しかし、タービンで仕事をして蒸気の圧力が下がれば下がるほど、ボイラへ送気する配管径が大きくなってしまうので、配管の取り回しやタービンの構造の関係上、実際の火力プラントでは2回の再熱が限度のようです。

以上、参考になりましたら幸いです。

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